得度のあと ― 見習い期間・度牒・僧籍登録
得度式で僧名と十善戒を授かった後、当道場の得度のみの課程では、6か月の見習い期間があります。この間は月に一度、勤行の継続と近況をご報告いただき、名乗りは「心照寺得度者」までです。見習い期間を終えると度牒を交付し、僧籍に登録します。登録後も年に一度のご報告をお願いし、連絡が途絶えた場合は僧籍が失効します。このページでは、度牒とは何か、僧籍とは何か、そして得度の後の歩みがどのように続くのかをご説明します。
度牒とは
度牒(どちょう)とは、得度したことを証明する文書です。歴史的には、律令制のもとで国家が発行した出家の許可証でした。得度を国が管理していた時代、度牒を持たない者は正式な僧侶とは認められませんでした。現代では、宗派や寺院が得度した者に交付する証明書として、この言葉が受け継がれています。
度牒には一般に、僧名、得度の日、師僧の名、授けた寺院などが記されます。度牒は「僧侶である」ことを証明するものではなく、「得度を受けた」ことを証明するものです。この区別は大切です。得度を受けたことと、僧侶として法要を勤める資格を持つことは、別のことだからです。
僧籍とは
僧籍(そうせき)とは、宗派や寺院における僧侶としての登録、いわば僧侶の戸籍です。僧籍に登録されることで、その人はその宗派・寺院に属する僧侶として正式に認められ、照会があれば所属先がそれに応じます。
ここで知っておいていただきたいのは、僧籍は国家資格ではなく、宗教法人の内部制度であるということです。日本には「僧侶免許」のような国の資格はありません。僧籍も、教師資格も、阿闍梨位も、住職資格も、すべてそれぞれの宗派・本山・寺院が内部の規則で定めているものです。したがって、僧籍がどこまで通用するかは、どこに登録されているか、どの段階まで修めたかによって決まります。詳しくは僧侶の資格の種類と、どこで通用するかをご覧ください。
当道場の場合
得度のみの課程 ― 得度のあとの流れ
| 時期 | 内容 | 名乗り |
|---|---|---|
| 得度式(100日目) | 僧名と十善戒を授かる | 心照寺得度者 |
| 見習い期間(6か月) | 月に一度、勤行の継続と近況を報告 | 心照寺得度者(「僧侶」の肩書は使えない) |
| 見習い期間終了 | 度牒交付・僧籍登録 | 「僧侶」と名乗れる |
| 登録後 | 年に一度の報告(参拝義務なし) | 僧侶 |
見習い期間(6か月)
得度式の後、6か月の見習い期間があります。この間、月に一度、勤行の継続と近況をご報告ください。報告の方法は。
見習い期間中の名乗りは「心照寺得度者」までで、「僧侶」の肩書は使えません。得度式を終えた直後に「僧侶です」と名乗りたくなる気持ちは分かりますが、僧名を授かったばかりの半年は、戒を保ち、勤行を続け、その名にふさわしい日々を積み重ねる時間です。この期間を設けているのは、得度を「一日の行事」で終わらせず、生き方として定着させるためです。
見習い期間中に、修行の道に進みたいという気持ちが生まれる方もいらっしゃるでしょう。その場合は、見習い期間中でも僧籍登録後でも、口頭でお申し出いただければ足ります。得度・授戒式の冥加金10万円は既に納めたものとみなし、二重にはかかりません。必要になるのは四度加行45万円、その他の行法10万円、そして支度金の差額(法衣を購入済みであれば教本・次第書類の約5万円のみ。レンタルであった場合は法衣類の約15万円も加わります)です。
度牒交付・僧籍登録
見習い期間を終えると、度牒を交付し、僧籍に登録します。僧籍登録後は「僧侶」と名乗れます。僧籍は道場で管理し、外部からの照会に応じます。つまり、「この人は確かに心照寺で得度し、僧籍に登録されている」ということを、当道場が責任をもって証明します。
ただし、繰り返しになりますが、得度のみの課程で登録される僧籍は、得度を受けた者としての登録です。葬儀・法要・祈願を自ら勤めるには、四度加行の満行と伝法灌頂が必要です。得度のみの僧籍登録をもって「僧侶として法要を勤められる」と考えることはできません。名乗りとしては、登録後に「僧侶」と名乗ることができます。
登録後の年次報告
僧籍登録の後も、年に一度のご報告をお願いしています。報告のみで、参拝の義務はありません。連絡が途絶えた場合は、僧籍が失効します。
これは、僧籍を「取ったら終わり」のものにしないためです。師僧と弟子の関係は、得度式で結ばれ、以後も続きます。年に一度、勤行が続いているか、どう暮らしているかを知らせていただくことが、その関係を保つ最低限の形です。逆に言えば、年に一度の報告さえあれば、僧籍は保たれます。
度牒の交付、僧籍登録、見習い期間中の月次報告、登録後の年次報告のいずれにも費用はかかりません。これらはすべて得度の冥加金に含まれています。僧籍の維持費や年会費のようなものも一切ありません。
得度して修行に進む課程の場合
得度して四度加行に進む課程では、見習い期間はありません。得度式の後すぐに四度加行に入り、満行して伝法灌頂を受け、阿闍梨となります。僧籍は伝法灌頂の後に心照寺で預かり、その時点から真言宗の僧侶として正式に活動できます。伝法灌頂の後も定期のご報告は年に一度で、年会費のようなものはありません。この課程の得度後については申込みから阿闍梨までの全体の流れと伝法灌頂とは・阿闍梨とはをご覧ください。
よくあるご質問
Q. 見習い期間中に報告を忘れたらどうなりますか。
A. 月に一度のご報告をお願いしていますが、一度の遅れで直ちに何かが失われるものではありません。気づいた時点でご連絡ください。
Q. 見習い期間中に法衣を着て勤行してもよいですか。
A. ご自宅での勤行に、購入した白衣などを用いることは差し支えありません。ただし、外に向かって「僧侶」として振る舞うことはできません。
Q. 僧籍が失効した後、再登録はできますか。
A.
Q. 度牒や僧籍の証明を、外部(勤務先・取引先など)に示すことはできますか。
A. 僧籍は道場で管理し、外部からの照会に応じます。度牒は得度を受けた証明としてお持ちいただけます。ただし、得度のみの課程では「僧侶として法要を勤める資格」の証明ではないことをご承知おきください。
得度のあとに続くもの
得度式は、多くの方にとって人生で一度の、特別な一日です。しかし、得度の本当の意味は、その後の日々の中にあります。毎朝の勤行を続けること、十善戒を思い出して選択すること、僧名にふさわしく生きること――こうした地味な積み重ねが、得度を「受けた」ものから「生きている」ものに変えていきます。
見習い期間の月次報告も、登録後の年次報告も、その積み重ねを師僧とともに確かめるための仕組みです。後悔のない生き方とは、一度の決意ではなく、決意を日々更新し続けることの中にあるのだと思います。
関連する問い
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このページの要点
- 得度のみの課程では、得度式の後6か月の見習い期間があり、月に一度の報告をしながら「心照寺得度者」として過ごす。
- 見習い期間を終えると度牒交付・僧籍登録。登録後は「僧侶」と名乗れる。登録後は年に一度の報告のみ(参拝義務なし)、連絡が途絶えれば失効。
- 度牒は「得度を受けた」証明、僧籍は宗教法人の内部制度。得度のみでは法要を勤めることはできない。
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