出家得度して真言宗の僧侶(尼僧)になるには個別指導で働きながらでも僧侶資格が取得できる心照寺春日部道場

心照寺 春日部道場

埼玉県春日部市火伏せの龍の里
電話: 048-700-7014
受付時間: 10:00 〜 17:00

血脈について ― 龍猛から空海、そして当道場へ

血脈(けちみゃく)とは、仏の教えが師から弟子へ、途切れることなく受け継がれてきた系譜のことです。血のつながりになぞらえて、法のつながりをこう呼びます。真言宗では、大日如来から説き起こされた密教の法が、インド・中国を経て弘法大師空海に伝わり、空海から千二百年にわたって日本の僧侶たちに一代ずつ伝えられてきました。伝法灌頂を受けた僧侶は、この系譜の末尾に自分の名が連なる「血脈一紙」を授かります。当道場で伝法灌頂を受ける方も、龍猛(りゅうみょう)から空海を経て師僧に至る血脈の中に、正式に名を連ねることになります。

血脈とは何か ― 真言宗にとってなぜ重いのか

経典を読めば学べる教えとは違い、密教の法は、師が弟子に面と向かって伝えることを原則とします。印の結び方、真言の唱え方、観法の進め方は、文字だけでは伝わらず、必ず人から人へ手渡されてきました。この「人から人へ」の連鎖が血脈です。

真言宗において血脈が重いのは、血脈こそが「その法が正統であること」の唯一の保証だからです。どんなに次第書を集め、知識を積んでも、血脈のない法は真言宗の法ではありません。逆に、血脈に連なっていれば、どんな小さな道場で修めた法であっても、空海から続く同じ法です。

伝法灌頂で授かる「血脈一紙」には、大日如来から師僧、そして自分に至るまでの名が順に記されています。これは資格証ではなく、「あなたはこの系譜の中にいる」という事実の記録です。僧侶はこれを生涯大切に持ち、やがて自分が弟子に法を伝える日が来れば、自分の名の次に弟子の名が加わることになります。

付法の八祖と伝持の八祖

真言宗では、法を伝えた祖師を「八祖」として尊びます。八祖には「付法の八祖(ふほうのはっそ)」と「伝持の八祖(でんじのはっそ)」の二通りの数え方があり、どちらも正しく、見ている側面が異なります。

付法の八祖 ― 法そのものの系譜

付法の八祖は、密教の法が誰から誰へ授けられたか、という「法の授受」の系譜です。大日如来から始まります。

順 祖師 概要
一 大日如来(だいにちにょらい) 密教の教主。法の源
二 金剛薩埵(こんごうさった) 大日如来から直接法を受けた菩薩。南天の鉄塔に法を納めたと伝えられる
三 龍猛(りゅうみょう) 南天鉄塔を開いて金剛薩埵から法を受けたと伝えられる。龍樹菩薩と同一視される
四 龍智(りゅうち) 龍猛の弟子。長寿の伝承を持ち、インドで法を護持した
五 金剛智(こんごうち) 南インド出身。唐に渡り、金剛頂経系の密教を伝えた
六 不空(ふくう) 金剛智の弟子。唐で多くの密教経典を翻訳し、密教を大成した
七 恵果(けいか) 不空の弟子。長安・青龍寺の阿闍梨。金剛界・胎蔵の両部を一身に受けた
八 空海(くうかい) 恵果から両部の法と伝法阿闍梨位を受け、日本に真言宗を開いた

付法の八祖は、大日如来と金剛薩埵という、人の歴史を超えた存在から始まります。これは「真言宗の法は、人が考え出したものではなく、仏そのものから流れ出たものである」という宗の立場を示しています。

伝持の八祖 ― 法を実際に伝え持った祖師

伝持の八祖は、歴史上の人物として密教を実際に伝え、護持した祖師の系譜です。大日如来と金剛薩埵を除き、代わりに善無畏と一行が加わります。

順 祖師 概要
一 龍猛 上と同じ
二 龍智 上と同じ
三 金剛智 上と同じ
四 不空 上と同じ
五 善無畏(ぜんむい) 中インド出身。唐に渡り、『大日経』を漢訳した。胎蔵系密教を中国に伝えた
六 一行(いちぎょう) 唐の僧。善無畏の訳経を助け、『大日経疏』を著した。天文学者としても知られる
七 恵果 上と同じ
八 空海 上と同じ

善無畏と一行は、胎蔵(大日経)系の密教を中国に伝え、注釈した祖師です。金剛智と不空は、金剛界(金剛頂経)系の密教を伝えた祖師です。この二つの流れは中国ではもともと別々に伝わっていましたが、恵果がその両方を受け継ぎ、空海に一身に授けました。真言宗が「両部不二」を説くことができるのは、恵果と空海のこの出会いがあったからです。

付法の八祖と伝持の八祖は、真言宗の寺院の本堂に祖師像や祖師画として掲げられることが多く、修行者は日々の勤行の中でその名を唱えます。

恵果から空海へ ― 血脈が日本に渡った瞬間

空海は、延暦二十三年(八〇四年)に遣唐使とともに唐に渡り、翌年、長安の青龍寺で恵果阿闍梨に出会いました。恵果はすでに高齢で、空海を見るなり「私はあなたが来るのを待っていた」と語り、わずか数か月のうちに胎蔵・金剛界の両部の灌頂と伝法阿闍梨位を授けた、と空海自身が『御請来目録』に記しています。恵果は、空海に法を伝えたその年の末に亡くなりました。

空海が恵果から授かった灌頂名が「遍照金剛(へんじょうこんごう)」であり、真言宗の僧侶が唱える御宝号「南無大師遍照金剛」は、この名を称えるものです。

空海は帰国後、高野山を開き、東寺を密教の根本道場とし、多くの弟子に法を伝えました。空海の弟子たちからさらに弟子へ、血脈は枝分かれしながら千二百年続き、現在の真言宗の各派・各流派のすべては、この一本の幹から分かれた枝です。

当道場の血脈

当道場の血脈は、龍猛・龍智・金剛智・不空・善無畏・一行、恵果から空海へと師資相承された真言宗の血脈に連なります。当道場は、宗教法人 姫路成田山 明勝寺(兵庫県姫路市)の春日部教会として「春日部教会 心照寺」の位置づけにあり、師僧である主管・康照(真言宗 阿闍梨)が、この法脈を受けて修行者に伝授しています。

明勝寺は、昭和三十年頃に成田山新勝寺の明勝講が発足したことに始まり、昭和四十年頃に不動明王を本尊とする現本堂が完成、昭和五十一年に宗教法人の認可を得て本山となった寺院です。当道場は平成二十五年、心照寺主管・康照が開設しました。

空海から当道場の師僧に至るまでの間にどの流派(事相の流れ)を経ているかは、真言宗の中で複数の流れがあるため、入門時にご説明します。

当道場で伝法灌頂を受けた方は、血脈一紙を授かり、この系譜の末尾に名を連ねます。それは、春日部の小さな道場で修めた法が、空海が青龍寺で受けた法と同じ一本の線の上にあることを意味します。

血脈に名を連ねるということ

血脈に名を連ねることは、名誉ではなく責任です。自分の名の前に、千二百年分の祖師たちの名があり、自分の名の後に、いつか弟子の名が続くかもしれない。その間に立つ者として、受けた法を軽んじず、正しく修し、必要とする人のために勤める。それが血脈に連なった僧侶の務めです。

人は誰しも、自分より前にいた人々から何かを受け取り、自分より後に来る人々に何かを渡して生きています。血脈は、そのことをもっとも端的な形で示したものです。後悔のない生き方とは、自分が何を受け取り、何を渡すのかを自覚して生きることなのかもしれません。血脈一紙を手にした僧侶は、そのことを毎日思い出すことになります。

関連する問い

このページの要点

  • 血脈は、密教の法が師から弟子へ面授で受け継がれてきた系譜。真言宗ではこれが法の正統性の保証となり、伝法灌頂で「血脈一紙」を授かる。
  • 付法の八祖は大日如来・金剛薩埵・龍猛・龍智・金剛智・不空・恵果・空海、伝持の八祖は龍猛・龍智・金剛智・不空・善無畏・一行・恵果・空海。恵果が両部を一身に受け、空海に授けた。
  • 当道場の血脈は龍猛から空海へ至る真言宗の血脈に連なり、宗教法人 姫路成田山 明勝寺の春日部教会として師僧・康照が伝授する。

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